少年法「改正」問題 研究集会のご報告
207年5月23日更新
日本司法福祉学会・少年法「改正」問題 研究集会
2007年5月12日土曜日、午後1時~5時、少年法「改正」の現状に関する議論を深め、少年司法の将来を展望するために、 「未来の保護観察と少年院を語ろう」と題し、34名が参加して研究集会を行なわれました。
第1部は、加藤暢夫氏(元保護観察官)と八田次郎氏(元法務教官)によるミニ講演が行なわれ、 加藤氏は、更生保護法案につき市民としての成長を図るものから再犯予防を行政目的の第一課題化するものであるとし、 とりわけ遵守事項の決定に際し、現行法では、聴取と合意を前提に、当事者の主体的関与を期待し当事者の意欲に依拠し、 意欲を育て支援することで非行克服を目指すのに対し、法案は、更生保護機関が行政権限で決定し、権力的要素拡大の危惧あるものと指摘しました。 また八田氏は、少年院法改正案が「おおむね12歳以上」と収容年齢の引下げを規定するのに対し、 教育重視か生活重視かなど少年院と児童自立支援施設との処遇の相違に着目すべきであると指摘しました。
引き続き第2部では、「保護観察、少年院をこうしてよくする」と題して、藤原正範氏(鈴鹿医療科学大学)を司会にシンポジウムが行なわれ、 まずシンポジストの佐々木光明氏(神戸学院大学教授)が、少年法「改正」案や更生保護法案が実質的な審議を経ることなく進められている現状を報告するとともに、 重い結果を出した少年は司法へ、軽い結果の少年は福祉へとする一連の少年法「改正」にみられる枠組みの問題点を指摘しました。 その後、加藤暢夫氏、八田次郎氏も加わり、「処分の選択肢拡大の意味」、「法理念の変更」、「児童相談所や児童自立支援施設の現状と課題」など 様々な論点をめぐって活発な議論が行なわれました。