ここから本文

日本司法福祉学会・少年法問題 研究集会

「少年審判と情報公開−被害者の傍聴問題をどう考えるか」

日本司法福祉学会は、2008年4月12日(土曜)午後1時30分から5時まで、東京都千代田区神田駿河台の総評会館501会議室において、 「少年審判と情報公開−被害者の傍聴問題をどう考えるか」というテーマで、研究集会を開催しました。 この研究集会は、被害者が少年審判に傍聴できる規定を盛り込む少年法「改正」案が国会上程され、審議入り間近という情勢の中で、緊急に企画されました。 少年法「改正」問題についての日本司法福祉学会の第3回目の研究集会になります。

研究集会の第1部は、2人の演者によるミニ講演でした。 まず、「あひる一会」代表片山徒有さんの「犯罪被害者と裁判」では、ご自身が子どもを交通犯罪で亡くされ、そこで味わった司法や矯正機関の印象が紹介され、 その体験から「事件直近からのチームによる被害者支援が必要であり、その中で家裁裁判官や家裁調査官の果たす役割があるのではないか」と提起されました。 そして、少年審判への被害者の傍聴について、そういう方向の法改正では被害者の抱える悩みや問題は何ら解決されないと発言されました。 次に、読売新聞大阪本社編集委員竹村登茂子さんの「メディアから見た少年審判と情報公開」では、メディアが少年事件報道をするときの行動基準が「新聞倫理綱領」であること、 少年審判への被害者の傍聴問題について新聞社によって見解が異なっていることが紹介されました。 この問題の根底には少年審判の説明不足があり、少年審判の結果の根拠を知りたいという市民の声に耳を傾ける必要がある、 しかし、少年審判への被害者の傍聴では誤った情報が恣意的に流される懸念が拭えず、その解決のためメディアの果たす役割は大きいと意見表明されました。

第2部はシンポジウム「少年審判の被害者傍聴をめぐって」であり、片山徒有さん、竹村登茂子さんに、裁判所職員で構成する全司法労働組合役員伊藤由紀夫さん(家裁調査官)が加わり、 藤原正範会員の司会によって第1部の講演内容が深められました。 伊藤さんからは、被害者の傍聴により少年審判の場で健全育成に反するハプニングが生ずる可能性があり、職員にとって過度の負担になるという指摘がありました。 その後、出席者を含め、少年事件の情報をいかにして正確に市民に伝えるか、被害者への息長い支援がどうあるべきか、被害者の支援と加害少年の更生をどう関係させるか、 来年度施行される裁判員制度とリンクさせて議論しなければならないのではないかなど、が議論されました。

研究集会には38名が参加しました。 最後に提起されたことですが、被害者への情報開示の問題と一般的な少年審判の情報公開の問題とは、関連させながらも分けて議論する必要があります。 この日の討議は2つが混線したまま進みましたが、日本司法福祉学会のこの課題での最初の研究集会としては深まりのある内容になりました。

少年法「改正」案は、5月にも国会で審議が始まる様子です。「改正」内容は少年法の理念と関係する深い問題であり、慎重な審議を願いたいものです。 日本司法福祉学会としては、引き続き議論する機会を作りたいと考えています。