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日本司法福祉学会ニュースvol.39

1.会長挨拶

日本司法福祉学会会長 村尾泰弘

日本司法福祉学会第16回全国大会(東京大会)が大盛況のうちに終了しました。大会実行委員長の石川正興早稲田大学教授をはじめ関係各位にこころから御礼申し上げます。

このたび日本司法福祉学会の会長を拝命しました村尾泰弘です。はからずも会長に就任し、会員の皆様方にひとことご挨拶申し上げます。

歴代の会長、理事、会員の皆様が築いてこられたこの学会の運営を任され、責任の重大さを身をもって感じております。私といたしましては、基本的には先代の加藤会長のとってこられた路線を継承していきたいと考えております。ただ、会員数も飛躍的に増え、学会としての規模は格段に大きくなりました。今までの学会規定なども見直しをする時期に来たと考えております。本学会の良さでもあるアットホームな雰囲気を残しつつも、やはり学術的な団体としての性格をさらに打ち出していかなければなければならない時期に来たのではないでしょうか。その意味では、まさに飛躍の時期に来たということを実感しております。

本学会は、設立当初は、少年司法の活動を中心に展開してきました。しかし、時代の流れの中で、さまざまな要素を取り込んで、大きく発展してきました。他方、取り上げるべき課題も山積しています。

受刑者の社会復帰、虐待・被虐待高齢者への心理・社会的支援、知的障害者とくに軽度知的障害者の地域生活への定着支援の問題等々、このような状況を考えますと、法律的知見とソーシャルワークの実践が結びつくことの重要度がさらに増してきたと考えられます。これらの問題に加えて、いわゆる家事事件の諸問題も司法福祉の中に取り込んで論じなければならないとの指摘もあります。司法福祉の定義を根本的に考え直さなければならない時期に来たようです。現在、大きな変革期に差し掛かっていることを痛感いたします。

私としましては、これらの問題ひとつひとつを会員の皆様と知恵を出し合いながら取り組んでいく所存です。

その中で、ひとつ私なりに秘めた思いがございます。それは、本学会活動にグローバルな視点に立った福祉実践をさらに充実させていきたいと考えていることです。これまで本学会は米国のNational Organization of Forensic Social Work (NOFSW)との太いパイプをつくってきました。今後はさらに海外のさまざまな団体との交流を深めていきたいと考えています。

会員の皆様のお力を得て、この学会を精一杯盛り立てていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2.全国大会を終えて

第16回全国大会実行委員長 石川 正興(早稲田大学)

日本司法福祉学会第16回全国大会は、2015年8月8日(土)・9日(日)の2日間にわたり早稲田大学早稲田キャンパス8号館において開催され、「インクルージョンを促進する社会的条件」というメインテーマの下に、司法と福祉の交錯する領域における喫緊の諸課題について活発な議論が行われました。

第1日目の午前は、早稲田大学社会安全政策研究所(WIPSS)の企画セッションとして、「犯罪・非行当事者による立ち直り支援―当事者は語る―」を開催しました。高坂朝人氏(NPO法人再非行防止サポートセンター愛知理事長)、工藤良氏(NPO法人田川ふれ愛義塾理事長)、五十嵐弘志氏(NPO法人マザーハウス理事長)の3氏が、それぞれ当事者の立場からの経験を踏まえた立ち直り支援について報告され、その後山田憲児氏(日本社会事業大学客員教授)の司会の下に、私も加わってパネルディスカッションが行われました。

第1日目の午後は、オープニング・セレモニー終了後、炭谷茂氏(社会福祉法人恩賜財団済生会理事長・ソーシャルファームジャパン理事長)が「インクルージョンを促進する社会的条件〜激動する社会変化の中で考えるべきこと〜」というテーマで基調講演をされ、ご自身が積極的に取り組んでこられたソーシャル・インクルージョンの問題について熱く語られました。引き続き行われたシンポジウムでは私がコーディネーターを務め、炭谷茂氏、山田憲児氏、松友了氏(東京地方検察庁社会復帰支援室社会福祉アドバイザー)、松岡伸郎氏(福井県地域生活定着支援センター長)の5名によるパネルディスカッションが行われ、フロアとの質疑応答も交えながら「インクルージョンを促進する社会的条件」について多角的な議論が展開されました。

第2日目の午前は、「司法システムから福祉システムへのダイバージョン関係」・「矯正施設退所者等の福祉的支援関係」・「更生保護関係」・「児童・少年の司法・福祉関係」・「社会福祉の歴史研究・犯罪被害者関係」の5つのテーマで計25名による自由研究報告会が、また午後は9つの分科会が開催されました。このほか、同日は地下1階会場で個人・団体による3つのパネル展示も行われました。

2日とも大変な猛暑日であったにもかかわらず、第1日目350名、第2日目334名、2日間で実人員計437名の方々にご参加をいただき、大盛況のうちに第16回全国大会を終えることができました。このように有意義な大会が実現できたことにつきまして、ご参加・ご協力いただきました全ての皆様に厚くお礼申し上げます。

3.2015年度の役員選出一覧

  • 会長 村尾泰弘(立正大学)
    (理事)
  • 事務局長 須藤 明(駒沢女子大学)
  • 理事 石川正興(早稲田大学)
  • 理事 遠藤洋二(関西福祉科学大学)
  • 理事 小長井賀與(立教大学)
  • 理事 武内謙治(九州大学)
  • 理事 松友 了(東京社会福祉士会,関西福祉大学)
  • 理事 水藤昌彦(山口県立大学)
  • 理事 古川隆司(追手門大学)
  • 理事 室井誠一(日本文化大学)
  • 理事 福永佳也(大阪府立大学大学院)
  • 理事 杉浦ひとみ(東京アドヴォカシー法律事務所)
  • 理事 木村隆夫(日本福祉大学)
  • 理事 小林良子(社会支援ネット・早稲田すぱいく)
  • 理事 辰野文理(国士舘大学)
  • 監事 相澤 仁(国立武蔵野学院)
  • 監事 齋藤知子(帝京平成大学)

4.役員選出の経過

8月8日(土),東京大会の会場において理事,監事の選挙を行い,8月9日(日)同会場において選挙結果を公示しました。以降,理事・監事選挙規則,同細則に基づいて手続きを進めました。理事については,上位得票者10名の理事の協議によって各分野・方面から5名の理事を選任しました。監事については,上位得票者3名から2名を選出しました。

5.2015年度第2回理事会報告

  • 新役員による初めての理事会であるため,会長,事務局長を互選し,村尾会長,須藤事務局長が選任された。
  • 会員数が増大する中,学会の規約・各種規則類について見直しが必要になっていること,また,NOFSWなど海外の学会との交流を促進していくことなどの基本方針が確認され,従来の学会編集委員会(委員長 小長井理事)のほかに総務委員会(委員長 室井理事)と国際委員会(委員長 遠藤理事)を立ち上げることとなった。
  • 来年度の大会は甲南大学(実行委員長 前田氏)で行い,遠藤理事が担当理事となった。時期については平成28年8月6,7日,8月27,28日のいずれかで調整を図っている。
  • 日本学術会議協力学術研究団体への登録に関しては,研究者比率の減少傾向もあって,継続審議となった。
  • 生活書院との業務委託契約は,継続していくことが確認された。

6.会員動向(2015年11月20日現在)

正会員 378名,学生会員 36名,名誉会員 7名

会費未納の方は,納入にご協力ください。

7.「司法福祉学研究」第16号への投稿のお願い

学会誌編集委員長 小長井賀與

本年8月、「司法福祉学研究」編集委員長に就任しました小長井賀與(立教大学)です。編集委員会は、私のほか、齋藤知子さん(帝京平成大学)、須藤明さん(駒沢女子大学、学会事務局長)、辰野文理さん(国士舘大学)、藤原正範さん(鈴鹿医療科学大学)、丸山泰弘さん(立正大学)、村尾泰弘さん(立正大学、学会長)、村田輝夫さん(関東学院大学)によって構成します。編集は、引き続き株式会社生活書院にお願いし、社長の高橋淳さんが担当します。

来年9月に「司法福祉学研究」第16号を刊行したいと考えています。研究論文、事例研究、実践報告の投稿をお待ちしています。

原稿は「16,000字」以内、表題には「英語タイトル」を付記し、「研究論文(原著論文)、事例研究、実践報告のいずれであるかを明示してください。その他、原稿の作成につきましては、編集規定等を厳守してください。原稿は、生活書院宛メールに添付して送付してください。締め切りは、2016年1月4日(月)午後5時とします。

投稿についてのご質問、ご意見は小長井メールへどうぞ。