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日本司法福祉学会ニュースvol.19

発行  2008年7月7日
〒658-8501  神戸市東灘区岡本8-9-1    甲南大学法学部  前田忠弘研究室
電話・ファックス:078-431-6100

暑い夏がそこまでやってきています。このニュースをご覧になっている方の中には梅雨が明けた地域にお住まいの方もいらっしゃるでしょうか。

さて今回は、8月2日(土曜)・3日(日曜)に九州大学で行われます日本司法福祉学会第9回大会の詳細と参加申込などについてお知らせいたします。ご参加の手続き(返信用のお葉書を同封しております)と参加費用などをお納めいただく方法についてもご案内しておりますので、よろしくお願いします。

1.日本司法福祉学会第9回大会のご案内

(1)実行委員長ごあいさつ

梅雨のさなかですが、博多は山笠の祭一色に染まりつつあります。威勢のいい男衆の法被と締め込み姿を見ると、博多に夏がやってきたという実感がわいてきます。今年はその福岡で第9回日本司法福祉学会を開催することになりました。

ご承知のように、近年、新自由主義的な諸政策の推進によって社会的格差が拡大し固定化しつつあります。それを反映して、司法福祉に関連する教育や法制度の改革もめまぐるしく、新しい理論的問題や実践的課題が生まれています。昨年は、主に触法少年をめぐる少年法「改正」問題を中心に、子どもを取り巻く諸問題や司法福祉の実践に根ざした討議を行いました。今年は、新たな少年法「改正」問題とともに、新しく成立した更生保護法及び更生保護制度改革をとりあげ、犯罪をした者や非行のある少年の社会復帰の促進をめぐる諸課題について討議したいと考えております。おりしも、司法福祉が社会福祉士養成課程の必修科目となり教科書等の出版が準備されているだけでなく、社会福祉士会では司法福祉分野におけるソーシャルワークの研究等も進められているようです。これによって、司法福祉の理論的・実践的進展とともに担い手の拡充も期待されるところです。

このような状況の中で、本学会には、司法福祉における指導的役割を果たす責任と期待が一層高まっているといえましょう。今大会において、全体会のみならず分科会、自由研究においても、更生保護に関連するテーマが取り上げられているのはそのような背景によるものとご理解いただければ幸いです。

本学会はこれまで都市部で開催されてきましたが、今回は初めて地方での大会となります。それだけに、是非多くの会員の皆様にご参加いただきたいと思っております。もっとも、会場である九州大学は大学移転を控え、建物や設備も貧困で老朽化し、とても快適な環境とはいえないと思いますが、皆様のご理解とご協力をいただきながら、有意義な大会にしたいと事務局一同精一杯準備を進めております。

また、今大会の懇親会では、福岡市内で現在も営業している古い造り酒屋の酒蔵を改築したホール(博多百年蔵)で博多らしさを味わっていただきたいと思っております。こちらのほうにもどうぞ奮ってご参加下さいますようお願い申し上げます。

それでは、博多でお会いしましょう。

日本司法福祉学会第9回大会実行委員長    土井  政和

(2)大会日程

日時

2008年8月2日(土曜) 13:00〜8月3日(日曜)

場所

福岡市東区箱崎6−19−1  九州大学箱崎地区文系キャンパス(福岡市営地下鉄「箱崎九大前」下車)

8月2日(土曜)   九州大学箱崎地区文系キャンパス大講義室

《12:00  受付開始》

13:00〜  全体会 「更生保護における福祉と人権」

企画・司会  土井政和(九州大学)
シンポジスト
正木 恵子(近畿地方更生保護委員会)
岩佐 嘉彦(大阪弁護士会弁護士)
渕野 貴生(立命館大学)

〔シンポジウムの趣旨〕

新たに制定された更生保護法は、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を整理統合し、更生保護の目的として犯罪をした者や非行のある少年の更生と再犯防止を掲げた。また、遵守事項の法的規範性を明確化し、専門的処遇プログラムの受講を義務づけるとともに、特別遵守事項の設定・変更を可能とした。さらに、環境調整の充実をはかるとともに、他方では、犯罪被害者等の仮釈放手続等への関与を規定した。

このシンポジウムでは、新しい更生保護法のみならず更生保護制度そのものについて、福祉と人権という観点から検討を加え、課題を明らかにした後、今後の在り方について議論したいと考えている。正木会員には、保護観察官の立場から、保護観察におけるソーシャルワークの実践について、岩佐会員には、弁護士の立場から、少年に対する更生保護の在り方について、さらに、渕野会員には、研究者の立場から、刑事立法研究会「更生保護基本法要綱試案」の基本的考え方と骨子についてご報告をしていただく予定である。

16:30〜17:20  学会総会

17:30〜  送迎バスにて懇親会会場へ移動

18:00〜  懇親会    博多百年蔵(福岡市博多区堅粕1−30−1)

8月3日(日曜)   九州大学箱崎地区文系キャンパス講義棟各教室

※講義棟内の各分科会会場は、当日掲示等によってご案内致します。

《9:00  受付開始》

9:30〜12:00  分科会

第1分科会  「児童自立支援施設のあり方――継承すべきものは何か、変革すべきものは何か2」

企画者:
小林英義(秋田大学)
小木曽宏(淑徳大学)
話題提供者:
椎木千賀夫(福岡県立福岡学園・園長)
石岡一郎(釧路家裁北見支部・主任家庭裁判所調査官)

〔企画内容〕

報告書『児童自立支援施設のあり方』以後、この施設の目指す方向及び動向がいまひとつ見えてこない。改正少年法(2007年)により司法と福祉のすみ分けについて提起されるなか、「なくてはならない」この施設のあり方を継続的に議論したい。

第2分科会  「司法福祉の方法と技術」

企画者:藤原正範(鈴鹿医療科学大学)
基調講演者:服部朗(愛知学院大学)
指定討論者:
岩佐嘉彦(大阪弁護士会)
廣井亮一(立命館大学)

〔企画内容〕

最初に、服部朗の基調講演「少年司法における対話」(40分)があり、その後、法律と司法臨床の立場から指定討論(20分ずつ)を行う予定である。司法福祉実践の場として、少年審判を例に採り、服部提起の「対話」がどのように位置付けられるか、少年法の目的に沿うよりよい方法、技術はどのようなものであるかを議論する。

第3分科会  「少年法改正」

企画者:斉藤豊治(大阪商業大学)
話題提供者:
武内謙治(九州大学)  「2000年以降の少年法改正をふりかえって」
岡田行雄(熊本大学)  「少年法の第3次改正について」
崔鍾植(九州大学)  「韓国における2007年改正少年法の概要と問題点」
斉藤豊治(大阪商業大学)  「少年司法の歴史とサイクル:再論」
コメンテーター:家裁の裁判官経験者

〔企画内容〕

2000年以降、少年法の相次ぐ改正を推し進めた「改革者たち」はどのような人々であり、何を意図し、それはどの程度「実現」されたのか。一連の「改革」は、実際にどのような変化と矛盾を生じさせているのか。「司法福祉」の立場からみて、そうした変化にどう対応すべか。韓国少年法に関する最新情報の提供も受け、比較法的視点を加味しつつ、少年司法の動きをやや長めのスパンで、構造変化の視点から検討していきたい。

第4分科会  「少年矯正における被害者加害者の対話・対峙の可能性と課題」

企画者:
八田次郎
日下部隆
司会:桑田 裕
パネリスト:
村尾博司 「被害者の視点を取り入れた教育」における指導の在り方について
大熊直人 在院中における被害者とのかかわり方について
白井健二 関係機関との情報の共有・連携の在り方について
渡辺玲子 少年の保護者に対する働き掛けについて

〔企画内容〕

少年院では平成9年から「被害者の視点を取り入れた教育」を実施しているが,この教育では,加害者である少年が被害者に対して真摯に向き合い,謝罪,慰謝,賠償に誠意を持って当たることができるようになることが目標となる。そのためには「被害者の視点を取り入れた教育」の在り方や少年に対する指導はもとより,在院中における被害者との通信や面会等のかかわり方,保護者に対する働き掛け,関係機関との連携の在り方など,検討しなければならない課題も多い。

本分科会では,それらの現状を踏まえ,少年矯正における被害者加害者の対話・対峙の課題と可能性について探る。

第5分科会  「非行の子を持つ親たちの、自助グループのあり方を考える」

企画者:木村隆夫(愛知教育大学大学院)

〔企画内容〕

今全国で、非行の子を持つ親たちの自助グループが組織されてきています。その活動の中心は自助活動であり、「親たちの会」で元気を取り戻し、再びわが子の非行に向き合う親たちが増加しています。わが子が非行から卒業した親のアドバイスは、専門職の助言を上回る説得力です。 今や「今や親たちの会なくして、非行克服は語れない」という状況さえ生まれつつあると言っても過言ではありません。

だが、親たちの自助活動は、実務家や研究者の間でもあまり理解されていないため、主として親たちの手により、十分な支援も得られないままに活動しているのが現状です。

この分科会では、1.親たちの自助活動を、研究者や実務家に広く理解してもらう。2.自助グループの原点は自助活動であることを再確認し、自助活動のあり方を考える。3.自助活動の中で、親たちがどのように変わり、成長してきたのかを確認する。4.自助グループの抱える問題点を整理し、今後の活動の方向を確認する。5.自助グループに対して、研究者や専門職がどう関わり、どう支援していくのかを検討する。などについて考えてみます。

第6分科会  「加害者の社会再統合」

司会・話題提供者:小長井賀與(立教大学)
話題提供者:
中村正(立命館大学)
新海浩之(府中刑務所)
平山真理(白鴎大学)

〔企画内容〕

DV加害者、虐待する親、犯罪者等加害者の社会再統合を、テーマとする。

刑務所での受刑者に対する改善指導、更生保護施設での釈放受刑者に対する更生援助、相談機関でのDV加害者や虐待する親に対する認知行動療法による援助プログラムの実施状況と課題を概観した上で、加害者の責任(accountability)の召喚や認知・行動変容の可能性について論じ、さらに、社会の側の二次加害性や排除性、また、「性犯罪前歴者居住情報確認制度」を通して見られる社会意識のあり方について論じ、カナダの性犯罪者に対する「支援と責任のサークル」を手掛かりに、加害者の社会再統合を許すような包摂型社会を形成できるか、その可能性と課題について考察していきたい。

第7分科会  「学校事故・事件を語る会」

企画者:全国学校事故事件を語る会

〔企画内容〕

子ども同士のいじめ、教師による体罰や暴行、「指導」の名による監禁や恐喝などにより、多くの子どもが傷つき、時に自死にいたる事件が後を絶ちません。国(文科省)、自治体(教育委員会)そして何より事故・事件の現場である学校には、生じた事故・事件の事実を徹底的に解明して再発を防止し、被害者へのケアと加害者等への対応を適切に行う責任があります。しかし現実には、事故・事件が繰り返されています。また、害者や遺族が、事故・事件への学校や教育委員会の対応によってさらに苦しめられている事例も数多くあります。その原因はどこにあるのか、解明の余地はまだまだ残されているといえます。

本分科会では、これまでの裁判事例なども通して問題の構造を明らかにし、まずは被害者救済のための制度整備等のあり方を検討します。さらには加害者との関係修復のあり方などについても検討の課題とします。

第8分科会  「更生保護制度改革の司法福祉論からの吟味」

企画者:
北澤信次
松本勝

〔企画内容〕

更生保護制度は、その基本法である犯罪者予防更生法、執行猶予者保護観察法が廃止、更生保護法の制定の形で全面的に改定され、施行期日は2008年6月1日とされた。更生保護法の制定による制度改革は、骨格が見えてきたものの全貌は明らかになっていない。更生保護は、半世紀の実績を経て、司法福祉においては、少年司法とならぶ有力な構成者となっている。施行当初にあたり司法福祉論の立場から吟味しておく必要がある。提案者は、共通して更生保護の実務家を退職後に社会福祉の教育研究者に転じた者であることから、このような見地からの報告を行い、討議資料に供そうとするものである。

13:00〜16:30  自由研究報告

<第1会場(講義棟102教室)>

1.13:00〜13:50
「『教護理論』の継承と変容―2006年度悉皆調査結果を手がかりに―」
武千晴(自立援助ホーム「ふくろうの家」/北海道教育大学函館校非常勤講師)

2.13:50〜15:20
「非行少年自立支援『学生ボランティア活動』の学際的研究」

  1. 「司法福祉における『学生ボラ』活動の意義」
    村田輝夫(関東学院大学)
  2. 「青森・弘前地区『学ボラ』活動の沿革と現状」
    宮崎秀一(弘前大学)
  3. 「少年に対する『学ボラ』活動がもたらす学生の成長について」
    齋藤史彦(青森県立保健大学)
  4. 「少年の更生に対する『学ボラ』の効果」
    鷲岳覚(青森明の星短期大学)
  5. 「児童自立支援施設における『学ボラ』活用可能性」
    最上和幸(青森県立子ども自立センターみらい)
  6. 「少年司法に関する大学教育と学生の見方」
    飯考行(弘前大学)

3.15:20〜16:10
「児童保護における児童観の歴史的考察―菊池俊諦の感化教育・少年教護論を中心に」
竹原幸太(早稲田大学大学院)

<第2会場(講義棟202教室)>

1.13:00〜13:50
「触法精神障害者家族が経験する医療観察法―インタビューを通して―」
深谷裕(早稲田大学大学院)
伊藤順一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所)
川副泰成(国保旭中央病院)
中島豊爾(岡山県精神科医療センター)

2.13:50〜14:40
「DV防止教育の意義と課題」
立石直子(岐阜大学)

3.14:40〜15:30
「養護老人ホームと成年後見制度に関するパイロット研究」
蛭田真子(杉並区社会福祉協議会)

4.15:30〜16:20
「韓国における保護観察と更生保護の現状と課題」
ユン・ウンザン(YOON, WOONJANG)(前法務研修所教授(保護観察職教育訓練担当)/現テグ保護観察所行政支援チーム長)

2.大会参加申込について  〜会員の皆様へのお願い〜

(1)大会参加費等

  • 会員参加費 3,000円  ※参加日数に関わらず一律。資料代含む。
  • 非会員参加費  2日間参加の場合 4,000円
  •                 1日間参加の場合 2,000円
  • 非会員資料代 1,000円  ※非会員資料代は参加日数に関わらず一律。
  • 学生参加費 1,000円  ※会員・非会員、参加日数に関わらず一律。資料代含む。
  • 懇親会費 5,000円
  • 弁当代(8月3日分のみ) 1,000円

※お弁当は事前ご予約分のみのお取り扱いとなります。近隣に日曜日空いている食事処があまりありませんので、出来る限りお弁当のご予約をおすすめいたします

<支払金額の例>

a.会員で懇親会に参加し、3日の弁当も予約する場合
  参加費3,000+懇親会費5,000+弁当代1,000=総額9,000円
b.非会員で2日間参加、懇親会に参加する場合
  参加費4,000+資料代1,000+懇親会5,000=総額10,000円
c.学生で懇親会に参加し、3日の弁当も予約する場合
  参加費1,000+懇親会費5,000+弁当代1,000=7,000円

<大会参加費等の事前振込のお願い>

当日の受付の混雑を避けるためにも、なるべく事前のお振込にご協力をお願い致します。

【振込先】
振込先名義    九州司法福祉学会  代表  土井 政和
振込先口座    福岡銀行  箱崎支店  普通預金  2227555

(2)参加手続き

会員の皆様には、同封のハガキにて、7月19日(金曜)までに、大会への参加の有無をお知らせ下さい。参加される方は、参加日・参加予定の分科会・懇親会出欠をお知らせ願います。

(3)その他

  • ご宿泊は会員各自で手配をお願い致します。会場へは、天神・中洲・博多いずれのエリアからも地下鉄で最寄り駅まで20分以内(地下鉄「箱崎九大前」から会場までは徒歩7分程度)です。
  • 8月2日は午後からの開会となるため、事務局で弁当の用意は致しません。
  • 駐車スペースがありませんので、自家用車でのご来場はご遠慮下さい。

【九州大学箱崎地区へのアクセス】

<地下鉄>「箱崎九大前」下車。徒歩約7分。

  • 「福岡空港」 →(地下鉄空港線)→「中洲川端」下車/貝塚方面へ乗換→(地下鉄箱崎線)→「箱崎九大前」で下車
  • 「博多」→(地下鉄空港線)→「中洲川端」下車/貝塚方面へ乗換→(地下鉄箱崎線)→「箱崎九大前」で下車
  • 「天神」→(地下鉄空港線)→「中洲川端」下車/貝塚方面へ乗換→(地下鉄箱崎線)→「箱崎九大前」で下車
  • 「天神」→(地下鉄箱崎線)→「箱崎九大前」で下車

<西鉄バス>「九大北門」下車。

※経由によっては九大北門を通らない場合があります。乗車前にご確認下さい。

  • 天神地区より 行先番号21・22・23・24・25番系統
  • 博多駅地区より 行先番号29番系統

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